助動詞「ない」 活用からの読解 助動詞「う」助詞「は」の見方
助動詞「ない」の読解
例文
A 朝、街は美しくない。
B 朝、私は走らない。
「『ない』の識別 その先にある読解と思考」で、Aの例文を扱ったので、今回は、Bの例文を扱います。
Aの例文の解説は、こちらをどうぞ → 「ない」の識別 その先にある読解と思考
動詞の未然形という意味
B 朝、私は走らない。
Bの「ない」は、否定の助動詞です。
例文で、「ない」が接続しているのは、「走ら」で、これは「走る」の未然形です。
未然とは、「未だ然らず」で、まだそうならない状態を表しています。
「朝、私は走らない」 → 「朝」の状態は、「私」がまだ「走らない」状態なんです。
だから、「朝、私は走らない」は、昼か、夜かに「走」る意をも表しているといえるんです。
人間が主語で、述語が動作
このBの例文の主語は人間で、その述語は動詞です。
B 朝、私は走らない。
人間が主語で、述語が動作の場合、注意すべきは、そこでの意思の働きです。
意思は、思いです。
意思が強いものとなると、意志になります。
人間は、意思、意志を持つんですね。
だから、主語が人間で、述語が動作の場合は、そこでの意思の働きに注意すべきなんです。
「朝、私は走らない」
ここには、誰に何と言われようと、「朝、私は走らない」という意も垣間(かいま)見えます。
この場合、「ない」は、意思、意志の打ち消しと捉えられるわけです。
意思と未然形の意味の流れ
さらに、人間の持つ意思、意志と、未然形という活用形に注目しましょう。
思い出してください。あるいは、確認してください。
動詞の活用の種類と活用形を。
※スマホを横向きにしてご覧ください
「走る」は、五段活用の動詞です。
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
走ら(ない)・走り(ます)・ 走る ・ 走る(人)・走れ(ば)・走れ
走ろ(う)
上の活用形で、未然形に注目してください。
未だ「走ら」ない状態だから、これから「走ろ」うということにもなるんです。
読み方は、書き方を知ること
「朝、私は走らない。」
「昼、私は走ろう。」
例文で確認すれば、「朝、私は走らない」から、、昼か、夜に、「私は」「走ろ」う、というようにも読めるんです。
これは、そのように書ける、ということでもあります。
読み方は、書き方を知ることです。
助動詞「ない」と「う」
動詞の未然形において、助動詞「ない」という打ち消しの語と、助動詞「う」という意思の語は、表裏にあるんです。
例文で確認できますね。
「走らない」と「走ろう」という意味は、表裏です。
助詞の「は」からも、読める
例文は、さらに読めます。
主語の「私は」に注目しましょう。
助詞の「は」です。
この「は」は、限定の意を持っています。
B 朝、私は走らない。
つまり、「私」ではない他の人間は、「朝」、「走」る、ということです。
多様な考えは、客観的で、論理的な思考から
客観的、論理的な思考力とは、たった一つの答えを出すということでもありますし、いくつもの答えを出すということでもあります。
それは、ミクロ、マクロの思考の力ともいえます。
一つは、一つであって、しかし、その中身はいくつもの意味から成っているんです。
「ない」からも、いろいろ読めるし、考えられますね。