「恐れ入ります」の書き方とその意味 ビジネスメール
「依頼」「感謝」「謝罪」の際は「恐れ入ります」「恐縮です」
手紙、ビジネスメールにおいて、「お願い」「依頼」や「感謝」「謝罪」をする際は、「恐れ入る」「恐縮」といった言葉を使いましょう。
「恐れ入る」「恐縮」は、「礼」を表す言葉だからです。
「お願い」「依頼」の例
・大変恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。
・誠に恐れ入りますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
「感謝」の例
・弊社までご足労いただき、誠に恐れ入ります。
・ご教示、恐れ入ります。
・結構なお品をいただき、恐縮でございます。
謝罪の例
・今回の件、誠に恐縮しております。申し訳ございませんでした。
※謝罪の際は、「申し訳ございません」という言葉を併用しましょう。「恐れ入る」「恐縮」は自身の今の気持ちを表す言葉です。お詫びの言葉は、「申し訳ございません」です。
「恐縮」「恐れ入る」の意味
「恐縮」とは、「恐れ入る」ことで、身も縮まるほどの気持ちです。
さらにいえば、「恐れ」であり、「かたじけなさ」であり、頭が自然に下がる思いです。
だからこそ、「恐縮」「恐れ入る」は、「礼」を表す言葉となり、対面しても、手紙でも、メールでも、使われるんですね。
礼をつくすとは、思考をつくし、言葉をつくすこと
メールで、相手に「お願い」「依頼」をする場合は、礼をつくした書き方をしましょう。
なにしろ、こちらから「お願い」をするわけですから、礼を表さないと、「お願い」は「指示」にも「命令」にもなってしまいます。
指示にも命令にもなってしまう例
・電話してください。
・ご連絡ください。
これって、「電話しろ」「連絡よこせ」ってことです。礼を表せていないからです。
礼を表すことができなければ、「お願い」は、書き手側のただの要求になりますから、「指示」にも「命令」にもなるんです。
礼を表した例
・恐れ入りますが、お電話いただけますか。お手を煩(わずら)わせてしまい、申し訳ございません。
・大変恐縮ですが、ご連絡いただけますか。お手数をおかけしてしまい、申し訳ございません。
前述の「謝罪」と同じように、「申し訳ございません」を使用すると、「恐縮」の気持ちが活きます。
相手に何かしらの動作を、こちらがさせてしまう際、「恐縮」と「申し訳ございません」を併用しましょう。
なにしろ、「こちらがさせてしまう」んです。
それって、「申し訳ない」ことでしょう。
ビジネスは、オママゴトではありません。
相手への礼は基本中の基本です。
礼をつくすとは、思考をつくすことで、それは言葉をつくすことです。
「礼」の表し方は、言葉の扱い方
メールでも、電話でも、礼の表し方は同じです。
それは、言葉の扱い方だからです。
「恐縮」「恐れ入る」という「ひとこと」があるかないかで、印象は大きく変わります。
例をあげて、確認してみましょう。
都合のよい日時を知りたい場合
状況として、「私」は、自分の会社で、Aさんと会いたい、と考えているとしましょう。
そこで、Aさんの都合を訊く一文を記します。
礼を表せていない例
・ご都合のよい日時をうかがえれば幸いです。
どうでしょう。
これでは、駄目です。
例文においての「幸い」は、「私」の幸いであり、Aさんの幸いではありません。
これは、「私」の気持ちばかりが前面に出てしまっている書き方です。
なぜ、そうなってしまうのか、というと、「恐縮」「恐れ入る」といった言葉がないからなんです。
例文をブラッシュアップしてみましょう。
礼を表した例
・恐れ入りますが、A様のご都合のよい日時をうかがえれば幸いです。
・誠に恐れ入りますが、A様のご都合のよい日時をお知らせいただけますか。
どうです?
印象ががらりと変わりますよね。
「恐れ入る」、そして「A様」という固有名詞を記しているからなんです。
※固有名詞は特別の意味を持ちます。こちらもどうぞ → 名詞の種類と見分け方 例文 深く読解できるようになる
来社してくれる場合
もうちょっと例文を書いてみましょうか。
では、〇月〇日〇時に、Aさんが、「私」の会社に来てくれることになったとしましょう。
例文は、それに対しての言葉です。
礼を表せていない例
・ご来社をお待ちしております。
どうでしょうか。
OK牧場じゃありません、もう、おわかりですね。
そうです、この例文も「私の気持ち」だけが出ていて、「Aさんへの感謝・礼」が表せていないんです。
ビジネスメールのやり取りは、信頼関係の構築でもあります。
「相手への思い」「感謝」「礼」を記しましょう。
誠意が信頼を築いていきます。
礼を表した例
・弊社までお越しいただけるとのこと、誠に恐れ入ります。
・ご足労いただき、誠に恐縮でございます。
ここで、「ご足労いただき、ありがとうございます」はいただけません。
Aさんは、わざわざこちらに来てくださるんですから、「恐縮」すべきで、「恐れ入る」べきです。
しっかりしたビジネス社会は、仕事のできる大人の世界です。
心をつくし、言葉をつくしましょう。