読解力を鍛える 原因分析の手法 追究・解明は、観察と分析
追求も、追究の手法を理解してこそ
人は、理想を追い求めます。
幸せを追い求めます。
利潤を追い求める場合もあるでしょう。
「追い求める」とは、「追求」することです。
理想にしても、幸せにしても、利潤にしても、「追求」するからには、「追究」し、解明しなければなりません。
「追い求める」ということは、「明らかにしようとする」ことだからです。
それは「追究」です。
「追求」は、「追究」と通じています。
ここでは、追究・解明の手法を、原因の追究・解明で、やさしく記していきます。
原因の追究・解明は、視点の移動
結果から、原因を導くことは、簡単そうで、なかなか難しい作業です。
原因の追究・解明は、視点の移動の仕方を理解していないと、結果と原因の間の意味をいくつも落としてしまったり、短絡的な意味づけをしてしまったりするものです。
それでは、原因の解明とはならず、根本の解決にはなりません。
言葉の因果がわからなければ、プロジェクトの因果も、病気の因果もわからないんです。
脳は言葉でできています。
視点の移動とは、意味の連続性を追うこと
「どうして、そのような結果になったのか」
これを探るのが、原因追究であるわけですが、どのような物事も、突然、その状態になるわけではありません。
時間の流れの中で、その結果に至ります。
時間の流れの中を、徐徐に遡(さかのぼ)る格好となるのが、原因の追究・解明です。
徐徐にです。
少しずつ視点を移動させることになります。
視点の移動とは、破綻(はたん)なく意味の連続性を追うことです。
結果の中に原因の意味は存在している
やさしい例をあげて、説明していきましょう。
例
彼は、試合に勝った。
やったあと叫んだ。 ━━ 結果
「やったあと叫んだ」が、(最終)結果です。
この原因を探ってみることにします。
なぜ、やったあと叫んだのか。
まずは、結果に最も近い原因を探ることで、結果の意味をしっかりと把握しましょう。
どうするかというと、主たる意味を変えずに、つまり、文字を変えずに、最も近い原因を探るんです。
なぜ、やったあと叫んだのか。
→ やったあと叫びたかったから。
慣れないうちは、これをやりましょう。
これをやることで、「漏れ」、見落としをしない目が、少しずつ養われていきます。
(視点の移動は、思考の移動です。慣れないうちは、どうしても、その移動の際に、「漏れ」を犯してしまうんです。意味から意味の移動で、意味を落としてしまう。言葉から言葉の移動で、言葉を落としてしまう。)
因果関係は、表裏の関係です。
その表裏の意味は、ごく近い場合もあれば、かなり離れている場合もあります。
いずれにしても、結果の中に、原因(の意味)は存在しています。
まずは、目の前の結果(事象・事件・文字)を、よく理解しましょう。
原因追究の例 ミクロの視点の移動
では、「やったあと叫んだ」を使って、実際に、原因追究をしてみましょう。
時間の流れを遡って、原因を探っていくんです。
ミクロの視点を徐徐に広げていきましょう。
※スマホを横向きにしてご覧ください
やったあと叫んだ。 ━━ 結果
↓ 原因追究!
なぜ「やったあと叫んだ」のか?
↓ まずは、主たる意味・文字を変えずに、最も近い原因を探ります。
やったあと叫びたかったから。
|| 観察・分析!
結果にはなかった文字が出てきました。→「たかっ」→「たい」です。
「叫びたい」の「たい」は願望で、心情ですから、この心情の原因追究をします。
◎「叫んだ」という動作と、「叫びたかったから」という心情には、意味の連続性があります。
別の言い方をすれば、なぜ「叫んだ」のか=「叫びたかったから」というように、結果と心情理由はイコールの関係になっています。
さらにいえば、この「叫びたかったから」は、「叫んだ」の意味そのものです。
ミクロの因果がここにあるんです。因果は、表裏一体なんです。
見えてきましたか?
そうです、結果の「叫んだ」の中に、「願望」の意味が存在していたんです。
「やったあと叫びたかったから」を、今度は結果の位置において、その原因を追究することになります。
「やったあと叫びたかった」の文字を使わずに、意味の連続性を示していきます。
※慣れれば、ここからが、最初の作業となります。(本来は、ここからが最初の原因追究の作業です。)
↓ 原因追究!
なぜ、「やったあと叫びたかった」のか?
↓
うれしかったから。
|| 観察・分析!
「うれしかったから」には、「やったあ」の意味も、心情(=願望=叫びたかった)の意味も生きています。
「やったあと叫びたかった」=「うれしかったから」
因果が表裏一体であることが見えますね。
そうです。
「うれしかった」の中に、「やったあと叫びたい」意味が存在しているんです。
||
「やったあと叫んだ」に対して、「うれしかったから」は、内部の原因、内因です。
↓
内因が確認できたので、外部の原因、外因を追究します。
↓ 外因を追究!
なぜ、うれしかったのか?
↓
試合に勝ったから。
|| 観察・分析!
外部の原因は、外因です。
||
見えていますね。
因果は表裏です。
そうです。この「試合に勝った」の中に「うれしく」なる意味があり、「うれしかっ」たという意味の中に「やったあと叫」びたくなる意味があったんです。
◎今回は、やさしく原因の追究・解明を説明するために、この「試合に勝ったから」を根本原因の外因としましたが、実際の様様な状況では、いくつもの状況、条件が提示されていたり、あるいは隠れていたりするわけです。
観察ができてこそ、分析、解明ができる
関係性のあるのが因果です。
だから、見落としをしなければ、必ず、原因は解明できます。
最も大切なことは、目の前のものから、自身の目を、思考を、離さないことです。
観察です。
観察は、目の前のものの正確な理解です。
観察ができてこそ、分析も可能となり、原因も解明されます。
目の前のものを理解しようとすることは、それを明らかにしようとすることです。
追求は、追究のスタンスと通じています。
その際に、脳内で扱われるのが言葉です。