漢文 部分否定と全部否定は、否定語と副詞の位置に注意する
部分否定
例文を使って、口語訳を示していきます。
※スマホを横向きにしてご覧ください。
部分否定の多くは、「━━とはかぎらない」の訳になります。
否定語の下に副詞があれば部分否定
例
否定語(不)+副詞(必)━━
↓
必ずしも━━ず。
||
必ず━━とはかぎらない。(━━ないこともある。)
↓
有言者不必有徳。
勇者不必有仁。
↓
言有る者(は)必ずしも徳有らず。
勇者(は)必ずしも仁有らず。
||
よいことを言う者は必ず徳があるとはかぎらない。
勇者は必ず仁があるとはかぎらない。
全部否定
全部否定の訳は、「必ず━━ない」となります。
否定語の上に副詞があれば全部否定
例
必不━━
↓
必ず━━ず。
||
必ず━━ない。
↓
有言者必不有徳。
有言者必不有仁。
↓
言有る者(は)必ず徳有らず。
言有る者(は)必ず仁有らず。
||
よいことを言う者は必ず徳がない。
よいことを言う者は必ず仁がない。
否定語
否定の文字
↓
不(弗)・無(莫)・非・未
副詞
副詞の文字
↓
全ては・常には・尽(盡)くは・俱には・甚だしくは・多くは・皆は・久しくは・
再びは ・重ねては・
必ずしも
「復」に注意
○「復」は、部分否定でも、全部否定でも、平叙文でも、「復た(また)」と読みます。
部分否定
例
孟子不復告。
↓
孟子復た告げず。
||
孟子は(一度は告げたが、)二度とは告げない。
「(一度は━━したが、)二度とは━━しない」
「━━してからは、二度と━━しない」
全部否定
例
孟子復不告。
↓
孟子復た告げず。
||
孟子は(前も告げなかったが、)また告げない。
「二度とも━━しない(一度も━━したことがない)」
平叙文
例
孟子復告。
↓
孟子復た告ぐ。
||
孟子はまた告げる。
部分否定の形でも、部分否定ではない句形
注意しましょう。
部分否定の形でも、部分否定にならない句形があります。
つまり、否定語の下に副詞があっても、部分否定にならない形です。
○部分否定の形でも、部分否定ではない句形 その1
不敢(肯)━━
↓
あヘテ━━ず
||
━━しようとしない。(強い否定となります)
例
不敢走。
↓
敢へて走らず。
||
走ろうとしない。
本気で走ろうとしない。
思いきり走ろうとしない。
〇部分否定の形でも、部分否定ではない句形 その2
敢(肯)不 ━━ 乎
↓
あヘテ━━ざランや
||
━━しないことがあろうか、いや、━━する。(反語になります)
||
━━しないわけにはいかない。
例
敢不走乎。
↓
敢へて走らざらんや。
||
走らないということがあろうか、いや走る
||
走らないわけにはいかない。
逃げないわけにはいかない。
〇部分否定の形でも、部分否定ではない句形 その3
敢(肯)不━━
あヘて━━ざラン
例
敢不来。
↓
敢へて来らざらん。
||
来ないわけにはいかない。
〇部分否定の形をとりながら、部分否定ではない句形 その4
不亦━━乎
↓
また━━ずや
||
なんと━━ではないか。(強い感動となります)
例
不亦樂乎。
↓
また楽しからずや。
||
なんと楽しいことではないか。
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