矢をうつ「打・射・撃」 漢字の「見方」
矢は「うつ」のか? 「いる」のか?
知人から質問があったので、こちらにも記しておきます。
質問
「テレビで、アナウンサーが『矢を射つ』と言っていました。矢は『射る』でしょう? 『うつ』のは拳銃でしょう。矢は『射る』で、拳銃は『撃つ』ですよね?」
どうでしょうか。
たしかに、拳銃は、「撃つ」ですね。
で、矢は、「うつ」のか? 「いる」のか?
どうでしょう。
答えは、この下 ↓
答えは、ここ、ここ ↓
矢をうつ・矢をいる
答え
矢は「うつ」ともいえるし、「いる」ともいえます。
まあ、一般的に、矢は、「射る」とか、「放つ」とかでしょうか。
「矢を射る」「矢で射る」「矢を放つ」等々。
でも、矢は「うつ」ともいえます、記せます。
矢を「打つ・撃つ・射(う)つ」。
矢で「打つ・撃つ・射つ・討つ」。
「射る」ことは「射つ」こと
ところで、なぜ、「矢で『打つ・撃つ・射つ・討つ』」といえるのでしょう。
それは、「射る」=「射(う)つ」であり、「射つ」=「打つ」=「撃つ」=「討つ」だからです。
「射る」とは、「射つ」ことなんです。
「矢を射る」とは、「矢を『射つ・打つ・撃つ・』」こと。
「矢で射る」とは、「矢で『射つ・打つ・撃つ・討つ』」こと。
語源
「射」と「撃」と「打」は、語源を同じくする漢字です。
それぞれに、「戦い」「敵」「獲物」「武器」「道具」等々の意味が垣間見えますよね。
「討」は、上より下位を討伐(とうばつ)し平らか(平和)にする意で、「討伐」とは、攻めうつことです。
「形」は「意味」を表す
「矢で射つ」
「矢で討つ」
「射」
「討」
この二つの漢字は、「部首」は違いますが、つくりの「寸」が同じですね。
「寸」
「射」と「討」は、「寸」という同じ「形」を持っていますから、同じ「意味」を持っているとみることができます。
「形」は「意味」を表すんです。
漢字は表意文字ですからね。
「討」にも、「射」と同じく、「戦い」「敵」「獲物」「武器」「道具」等々の意味が見えますよね。
※ 「寸」という字義には、わずか、少し、といった意味もありますが、武器を用いて敵を傷つけたり殺したりする、といった意味もあります。
細かな意味の違いを派生
矢を使うものには、アーチェリーとか、ボウガンとかもありますね。
それらは、「矢を放つ」ことができます。
「矢を射る」ことができます。
「矢で射る」ことができます。
「矢を射つ・撃つ・打つ」ことができます。
「矢で射つ・撃つ・打つ」、「矢で討つ」ことができます。
「射る」ことは、「射つ・撃つ・打つ」ことで、「討つ」ことにも通じます。
「矢をうつ」、「矢でうつ」といえる所以です。
語源を同じくした漢字は、そこから細かな意味の違い・ニュアンスの違いを、派生させていくことになります。
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