マネー・ショート 金の稼ぎ方は、生き方そのもの
このカテゴリーは、一切、ネタバレ無し!
あらすじも記しません。
映画は、予備知識なんてないほうが楽しめます。
儲かるかどうか
お金は価値を生みだしますから、人はその扱い方で、美しくも、醜くもなります。
儲かるかどうかは、それを行う価値があるかどうかであり、儲け方は、それを行う人の姿です。
映画「マネー・ショート」は、見事なエンターテインメント作品として仕上がっています。
アカデミー賞脚色賞を受賞しています。
リーマンショックの全貌です。
社会派ドラマです。
実話を基にしていますから、見応え十分です。
この映画は、大きなシステムの中で、生きるしかない人間の姿を描いています。
それは、私たち自身の姿です。
価値を生みだすもの
お金と言葉は、価値を生みだすもの、とはよく言われるところです。
ピンとこないなあとおっしゃる方は、「価値」という言葉を「意味」という言葉に置きかえてください。
「意味」については、こちらも、読んでみてください → 意味と意味合い
意味合いとは、ある意味が他の意味と関係していくことから生まれる意味です。
それは、言葉が、他の言葉と関係していくということです。
それにより、新たな意味、新たな価値が生まれます。
新たな言葉は、新たな考えで、新たな企画にも、新たな商品にもなるわけです。
言葉は、価値そのものであり、価値を生みだすんです。
言霊
古代、言霊(ことだま)と言われたのも、言葉に価値があると認めていたからです。
(言葉に霊威(れいい)があるとされたのは、それを信じたからであり、その思考が働いたからです。思考の働きで、人は行動しますからね。言葉には、力があります。思考そのものであり、思考を左右します。思いこみも、洗脳も、言葉の働きです。言葉は、行動につながるんです。)
金と言葉は扱い方次第
価値を生むものは、また価値を落としもします。
まさに扱い方次第であるわけです。
人は、言葉によって信頼を得、言葉によって信頼を失います。
金も、他の金と関係していくことで、価値が変わります。
増えることもあれば、減ることもある。
金を使うのは人ですが、場合によって、人は金に使われます。
世界の希望
損をする者がいるからこそ、得をする者が生まれます。
ウィンウィンの陰には、必ず敗者がいるのです。
陰と陽は、一つの世界の中にあります。
そんな世界の中での一筋の希望は、人の努力です。
それが、なくなれば、世界は荒みます。
世界が荒むというのは、人の心が荒むということです。
努力とは、形のあるものであり、形あるものを生みだす力です。
金の稼ぎ方は、生き方そのもの
金を儲けることは大切であり、金がなければ、人間は生きていけません。
誰だって、お金持ちになりたいですよね。
でも、お金持ちでも、尊敬されるお金持ちと、そうでないお金持ちがいます。
尊敬されるお金持ちというのは、何かを作り、その結果として、金持ちになったというものでしょう。
そこには、やはり、努力の跡があります。
人人の尊敬を生むのは、そこです。
ただ金を求めるだけの姿は、美しくないものです。
金の稼ぎ方は、生き方そのものとなります。
言葉の扱い方が、思考そのものとなり、生き方そのものとなるのと同じです。
「世界」の手の中で生かされている
お金を稼ぐということ、生きていくということ、自分たちが生き、生かされている存在であるということ。
映画「マネーショート」は、私たちが「世界」の手の中で生かされていることを赤裸裸に見せます。
専門知識がなければ見られないという映画ではありません。
エンターテインメント作品としてうまく仕上がっていますから、上映時間は、あっという間に過ぎてしまいます。
ちなみに、邦題の「華麗なる大逆転」とはまるで違う、深い内容を訴えている映画です。
投資なんて、俺には関係がない、なんていうのは、とんでもない話です。
世界経済という基盤の上に載っていない人間など、この世に誰一人としていません。
誰かが得をすれば、誰かが損をするシステムの中、私達は生きています。いえ、生かされています。
だからこそ、とんでもない政治家にいいようにされてはいけないのですよね。
自分のことは自分で考え、生きていかなければ。
これって、あたりまえのことです。
スティーヴ・カレル
スティーヴ・カレルの演技力は、いつもながら、すばらしいです。
アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた「フォックスキャッチャー」でも、すごかったですが、「マネーショート」でも、彼は一際、光っています。
ちなみに、スティーヴ・カレルは、「ミニオンズ」の「怪盗グルー」の声の主です。コメディアンでもある彼は、じつに多才です。
ブラット・ピット
ブラット・ピットが演じる「ベン・リカート」がマスクをしてエスカレーターを下りていくシーンがあります。
彼がマスクをしているのには、きちんとした理由があります。
かなり、笑えます。
おもしろいです。演出、うまいです。
エスカレーターのシーン、どうぞ、お楽しみに。