る らる 助動詞 意味と見分け方 接続する動詞
古文 未然形接続の助動詞 11個
未然形接続の助動詞は、11個です。
→ る・らる・す・さす・しむ・ず・む・むず・じ・まし・まほし
その中の「る」「らる」を今回とりあげます。
こちらもどうぞ→ れる られる ら抜き言葉 意味の見分け方 用法を例文で 現代語「れる・られる」の意味・用法とあわせて読むことで、古語の「る」「らる」を、より深く理解できます。
「る」「らる」の違い 見分け方
「る」「らる」の違いは、接続する動詞の「活用の種類」の違いです。
る → 四段活用・ナ行変格活用・ラ行変格活用の語の未然形に接続します。
→ 動詞のア段に接続します。
らる → 上記以外の動詞の未然形に接続します。
→ 上二段活用・下二段活用・上一段活用・下一段活用・カ行変格活用・サ行変格活用の語の未然形に接続します。
→ 動詞のア段以外に接続します。
「る」活用の形
助動詞「る」は、下二段型の活用をします。
(下の図解は、スマホを横向きにしてご覧ください。
「る」
未然形・ 連用形 ・ 終止形・ 連体形・ 已然形・ 命令形
れ ・ れ ・ る ・ るる ・ るれ ・ れよ
「る」 四段活用動詞の未然形接続 ア段接続
ア・イ・ウ・エの四段に活用するのが、四段活用です。
(下の例の図解は、スマホを横向きにしてご覧ください。)
例
知る(四段活用の動詞)
未然形 ・ 連用形 ・ 終止形・ 連体形 ・ 已然形 ・ 命令形
知ら(ず)・知り(たり)・ 知る ・ 知る(時)・ 知れ(ども)・ 知れ
上の(ず)(たり)は、助動詞、(時)は名詞、(ども)は助詞です。
「知る」は、「ら」「り」「る」「れ」というように、ア・イ・ウ・エの四段に活用していますね。
それで、四段活用です。
「る」は、「知られ」というように、「知る」の未然形に接続します。
「知られ」の「ら」は、ア段です。
助動詞「る」は、動詞の「ア段」に接続します。
「る」 ナ行変格活用動詞の未然形接続 ア段接続
ナ行変格活用の動詞は、「死ぬ」「往(い)ぬ」の2語だけです。
「往ぬ」とは、「行ってしまう」「時が過ぎ去る」「死ぬ」「腐る・悪くなる」などの意で、「去(い)ぬ」と通じます。
(下の例の図解は、スマホを横向きにしてご覧ください。)
例
死ぬ(ナ行変格活用の動詞)
未然形・ 連用形・ 終止形・ 連体形 ・ 已然形 ・ 命令形
死な ・ 死に ・ 死ぬ ・ 死ぬる ・ 死ぬれ ・ 死ね
根本は、「死な」「死に」「死ぬ」「死ぬ」「死ぬ」「死ね」、つまり「な」「に」「ぬ」「ぬ」「ね」であり、そこに連体形で「る」、已然形で「れ」が付いるのが、「ナ行変格活用」です。結果、ア・イ・ウ・エ、と四段に活用することになります。
「る」は、「死なれ」というように、「死ぬ」の未然形に接続します。
「死なれ」の「な」は、ア段です。
助動詞「る」は、動詞の「ア段」に接続します。
「る」 ラ行変格活用動詞の未然形接続 ア段接続
ラ行変格活用の動詞は、「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」の4語だけです。
ラ行変格活用も、四段活用、ナ行変格活用と同じく、ア・イ・ウ・エ、と四段に活用します。
ラ行変格活用の特徴は、終止形が「イ段」であるところです。
※動詞の基本は、終止形が「ウ段」。
(下の例の図解は、スマホを横向きにしてご覧ください。)
例
あり(ラ行変格活用の動詞)
未然形 ・ 連用形 ・ 終止形 ・ 連体形 ・ 已然形 ・ 命令形
あら ・ あり ・ あり ・ ある ・ あれ ・ あれ
「る」は、「あらる」というように、「あり」の未然形に接続します。
「あらる」の「ら」は、ア段です。
助動詞「る」は、動詞の「ア段」に接続します。
「らる」 活用の形
助動詞「らる」も、「る」と同じく、下二段型の活用です。
「る」の上に「ら」を載せた形が「らる」です。
「らる」の活用は、「る」の活用の上に「ら」を載せればOKです。
(下の図解は、スマホを横向きにしてご覧ください。)
「らる」
未然形 ・ 連用形 ・ 終止形 ・ 連体形 ・ 已然形 ・ 命令形
られ ・ られ ・ らる ・ らるる ・ らるれ ・ られよ
「らる」 動詞の活用語尾ア段以外に接続
四段活用・ナ行変格活用・ラ行変格活用以外の動詞に、接続するのが「らる」です。
→ 動詞の活用語尾「ア段」以外に接続します。
→ 上二段活用・下二段活用・上一段活用・下一段活用・カ行変格活用・サ行変格活用の語の未然形に接続します。
→ 「イ段」「エ段」「こ」「せ」に接続します。
例
起きられ → 「起き」は、上二段活用「起く」の未然形
※上二段活用動詞は、イ・ウの二段に活用
流れられ → 「流れ」は、下二段活用「流る」の未然形
※下二段活用動詞は、ウ・エの二段に活用
見られ → 「見」は、上一段活用「見る」の未然形
※上一段活用動詞は、イ段のみに活用
蹴られ → 「蹴」は、下一段活用「蹴る」の未然形
※下一段活用動詞は「蹴る」一語 → エ段のみに活用
来られ → 「来」は、カ行変格活用「来(く)」の未然形
※カ行変格活用動詞は「来(く)」一語 → イ・ウ・オの三段に活用
せられ → 「せ」は、サ行変格活用「す」の未然形
※サ行変格活用動詞は「す」一語 → イ・ウ・エの三段に活用(ただしサ行変格活用動詞は、「先ず」「物語す」等々、複合語は多数あり)
「る」「らる」の表す意味
「る」「らる」の表す意味は同じです。
「る」「らる」の表す意味は、4つ → 自発・可能・尊敬・受身
① 自発
自発 → 事態が自然と成り立つ意を表します → 心情を表す語と接続することが多い。
例
思ひ知られて言葉なき心地するに。
→ 思い知らされて、いうべき言葉もない心持ちがするときに。
② 可能
可能 → 打ち消しの語と一緒に記され、不可能の意で使われることも多い。
例
我妻はいたく恋ひらし飲む水に影(かご)さへ見えて世に忘られず。
→ 我妻はたいそう(私に)恋焦がれているようだ、飲む水に彼女の姿までもが映り見えて、とても忘れられない。
③ 尊敬
尊敬 → 動詞の主が、尊敬される人物である。
例
いまだしろしめされ候はずや、あれこそ八嶋の大臣殿。
→ まだ、ごぞんじございませんか、あれこそ八嶋の大臣殿。
④ 受身
受身 → 接続している動詞の動作主は、別にあり。
例
そこにてつひに討たれにけり。
→ そこでとうとう討たれたということだ。
「る」は現代語「れる」に 「らる」は現代語「られる」に
古語「る」は、現代語(口語)の「れる」となっています。
古語「らる」は、現代語(口語)の「られる」となっています。
今回の記事とあわせて、こちらもぜひどうぞ。 → れる られる ら抜き言葉 意味の見分け方 用法を例文で
古語「る」「らる」、現代語「れる」「られる」、ともに、理解がよりいっそう深まります。