意味と意味合い
意味という言葉
「意味」という言葉は、日常でよくつかわれる言葉ですね。
意味不明とか、意味があるとか、小さな子どもだって、口にします。
「意味」とは、そのものが持っている内容、あるいは、価値です。
意味と意味合い
ところで、意味合い、という言葉はご存知でしょうか。
意味と意味合い、これらは違います。
意味合いの意味って?
意味合いの成り立ち
「意味合い」という言葉の成り立ちを見てみましょう。
「意味合い」=「意味」+「合い」
=「意味」が「合う」こと
「意味」という名詞と、「合う」という動詞から成っています。
主語・述語の関係です。
意味が合うということ
「意味合い」とは、意味が合っていることです。
意味と意味が合うこと。
また、合うとは、会うことで、遭う、遇う、逢うことです。
だから、「意味合い」は、人と人が会うことからの意味ともなり、遇う、逢うことからの意味ともなります。そして、人が事件に遭うことからの意味ともなります。
「意味合い」とは、他の事柄との何らかの関連があった上での意味なんです。
事情であり、次第です。
同じ文字でも、異なる
「意味合い」の意味を、具体的に解きほぐしてみましょう。
例
① Aさんは、笑みを浮かべた。
② Bさんは、笑みを浮かべた。
Aさんの浮かべた笑みとBさんの浮かべた笑みは違います。
なぜ、違うのでしょう。
AさんとBさんは、違う人間だからです。
違う人間だから、違う「笑み」になるんです。
文字は同じでも、Aさんの「笑み」とBさんの「笑み」は違います。
AさんとBさんが、それぞれの脳内で、異なる「意味」を「合」わせ、そうして「笑みを浮かべた」んです。
人間は、同じものを見ても、その受けとめ方は異なりますね。
同じようであっても、まったく同じではない。
実は違う。
中身が違う。
違いは、脳内のものです。
それが、「意味合い」が違うということです。
分析の意味
目の前のものを分析するということ
「目の前のもの」をつくっているものは何か。
分析とは、「意味合い」の内容を探ることなんです。
条件と結果 過去と現在
目の前のものの分析、意味合いの分析は、条件と結果の関係とも通じます。
条件の要素は、「時(とき)」を遡(さかのぼ)れば、数えきれなくなります。
それに対する結果は「現在」です。
「現在」があるのは、「過去」があるからです。
「過去」の要素の一つでも違えば、「現在」の結果は違ったものになります。
また、条件と結果、過去と現在は、バランスをとります。
人間の思考も、存在もそうです。
過去と現在、思考にしても、食事にしても、運動にしても、バランスが崩れると、精神的、肉体的に、まいってしまうわけです。
「意味合い」をつくりだしている「意味」
順接条件と逆接条件を使って、「意味合い」の「意味」について、具体的に触れます。
AさんとBさんに再度、登場してもらいましょう。
例
① Aさんは、Xを見たから、笑みを浮かべた。
② Bさんは、Xを見たのに、笑みを浮かべた。
Xというものは、AさんとBさんにとっては、同じものではないんですね。
文字は同じでも、異なる。
AさんとBさんのそれぞれの過去において、Xは異なるものとなっているんです。
しかし、Aさんも、Bさんも、「笑みを浮かべた」。
Aさん、Bさんの、「笑みを浮かべた」、その「意味合い」は違います。
ここの二つの例文で、「意味合い」の違いというものを表しているのが、順接条件と逆接条件という書き方なんです。
この条件の書き方の違いにより、Aさん、Bさん、それぞれの「笑みを浮かべた」には、独特の「意味」が含まれていることもわかります。
その独特の「意味」を生みだしているのが、条件の中のXなんです。
「意味合い」の「意味」は、条件の中にある「意味」です。
その「意味」により、①、②それぞれの結果の文字は同じでも、その「意味合い」は違ってくるのです。
意味合いとは、事情、事の次第
「意味合い」は、意味の流れを一つにまとめたものなんです。
事情であり、事の次第です。
この意味合いというものを掴(つか)む力が、読解力、記述力、思考力です。
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