名詞の種類と見分け方 例文 深く読解できるようになる
名詞 3種類
名詞という品詞は、事物の名を表すのが、基本的な意味ですが、固有名詞・普通名詞・数詞に分けられます。
〇固有名詞
→ 唯一の名です。固有の名です。
→ 唯一の意味、固有の意味を宿しているということです。
→ 特別の意味を生みだしていくことになります。
→ 「ポチ」、「富士山」、「坊っちゃん」等
〇普通名詞
→固有名詞に対しての(一般の)名詞が、普通名詞です。
→一つ一つ固有のものの拠り所となる名です。→「犬」、「山」、「タイトル」等
固有名詞と普通名詞の見分け方
固有名詞と普通名詞の関係性を確認しましょう。
「固有名詞」とは、「普通名詞」の「一つの例」です。
この見方を理解すると、読解にも、記述にも、深みが増しますよ。
どういうものが「犬」かというと、「ポチ」を「一つの例」としてあげることができますね。
固有名詞 = 「ポチ」
普通名詞 = 「犬」
例文にして、確認してみましょう。
固有名詞 ━ 普通名詞
ポチは、犬です。
固有名詞「ポチ」とは、普通名詞「犬」の「一つの例」だから、この書き方ができるんです。
「犬」というものの中に、「ポチ」はいますよね。
「ポチ」は、「犬」の「一つの例」なのです。
もう一つ、例文をあげてみましょう。
固有名詞 = 富士山
普通名詞 = 山
固有名詞 ━ 普通名詞
富士山は、山です。
「山」というカテゴリーの中に、「富士山」はあります。
「富士山」は、「山」の「一つの例」です。
さらにもう一つ、例文をあげます。
今度は、書き方を変えてみます。
固有名詞 = 坊っちゃん
普通名詞 = タイトル
普通名詞 ━ 固有名詞
タイトルは、坊っちゃんです。
「坊っちゃん」は、「タイトル」の中の「一つ」です。
これは、つまり、「坊っちゃん」は、「タイトル」です。ということですよね。
固有名詞は、普通名詞の「一つの例」だから、この書き方となります。
この書き方とは、「何が、何だ型」(「何は、何だ型」)の文型です。
ここの主語、述語の、「何」には、「名詞」が入るのです。
「名詞」が(は)、「名詞」だ。
この文型の主語の名詞と述語の名詞は、イコールの関係になります。
そして、今、この文型を使って、例文を書いてきたわけです。
ここでの「イコールの関係性」を深く掘り下げれば、「固有名詞」=「普通名詞」、あるいは、「普通名詞」=「固有名詞」だったのです。
少し言い方をかえれば、「固有名詞」が、「普通名詞」の「一つの例」だから、「イコールの関係」が成り立つのです。
固有名詞には、普通名詞の意味が生きている
文章中において、固有名詞をポイントとして記しても、その背景には普通名詞の意味が生きています。
次の例文は、固有名詞の「ポチ」をキーワードにした書き方です。(「ポチ」を主語として書いているからです。主語がキーワードとなり、そのキーワードがポイントの意味・内容をつくっていきます。)
例文
ポチは、電柱に鼻を寄せ、くんくんと臭いをかぐと、決まって、小さく「ワン」と一声あげた。
次に、「普通名詞」の「犬」を補ってみましょう。
例文
(犬の)ポチは、電柱に鼻を寄せ、くんくんと臭いをかぐと、決まって、小さく「ワン」と一声あげた。
普通名詞と固有名詞の関係性が見えますね?
「ポチ」は、「犬」なので、「電柱に鼻を寄せ、くんくんと臭いをかぐ」という「犬」の特徴をもっているわけです。
「ワン」と「声をあげ」るのも、「犬」の特徴です。
そして、「電柱に鼻を寄せ、くんくんと臭いをかぐと、決まって、小さく『ワン』と一声あげ」るのは、「太郎」特有のもの、固有のものです。
だからこそ、「太郎」は、「固有名詞」になるのです。
記述するにおいても、読解するにおいても、普通名詞の「犬」の持つ意味(特徴、習性、等)を把握していると、固有名詞の「ポチ」の意味(「ポチ」特有の意味、固有の意味)を、より活かせる、より理解できることになります。
数詞と固有名詞・普通名詞
〇数詞
→数量、順序等を表します。
→「一匹」、「一座」、「一つ」等。
世界に一つだけの、固有の名詞
数詞と固有名詞、普通名詞の関係性を、例文で確認してみましょう。
固有名詞 ━ 普通名詞 ━ 数詞
「ポチ」という「犬」は、「一匹」だけです。
「富士山」という「山」は、「一座」だけです。
「坊っちゃん」という「タイトル」は、「一つ」だけです。
固有名詞は、唯一のものです。世界に一つだけです。
「ポチ」という同じ名前の「犬」は、世界に何匹もいるわけですが、Aさんが飼っている「ポチ」と、Bさんが飼っている「ポチ」は違う「犬」ですよね。
Aさんの「ポチ」は、世界に「一匹」だけ、Bさんの「ポチ」も世界に「一匹」だけです。
固有名詞を書く、ということは、その唯一の意味を表現する、ということなんです。
しっかりした文章は、じつをいえば、みな、その書き方に成功しています。