漢文 限定の表現 三種類を確認する
限定の表現は三種類
◎限定表現は、三種類です。
〇 副詞による限定の表現
〇 助字による限定の表現
〇 副詞と助字の併用による限定の表現
副詞による限定の表現
副詞による限定の表現を確認しましょう。
○〔唯・惟・只・直・徒・特 ━━ 〕
〔たダ(ニ)━━ノミ〕
「━━」に、送り仮名の「ノミ」をつけます。
例
天下英雄唯君與我。
天下の英雄は唯だ君と我とのみ。
(天下の英雄はただあなたと私だけである。)
※「徒」は「いたづラニ」と読む場合もありますから、注意しましょう。
「いたづらニ」の場合は、「むだに……」の意味です。これは、限定の意ではありません。
○〔獨━━〕
ひとリ━━ノミ
「獨」とは、そもそも「単独」の意ですが、限定表現では「ただ━━だけ」の意味・解釈となります。
例
今獨臣有船。
今獨り臣のみ船有り。
今(は)、私独りだけが船を持っている。
助辞による限定の表現
助辞による限定の表現を確認しましょう。
○〔━━耳・已・爾・而已・而已矣〕
〔━━のみ〕
ただ━━だけである。
ただ━━であるにすぎない。
例
此亡秦之續耳
これ亡秦の続のみ。
これは亡びた秦の二の舞であるにすぎない。
※ 「而已・而已矣」は、「耳・已・爾」と同じ意味です。「而・矣」の漢字が、加わって記されているだけです。
※ 「已」は文末にあれば限定ですが、副詞としては「すでニ」と読み、過去や完了を表します。また、動詞としては、「やム」と読み、「中止する」意味となります。
※ 「爾」は、限定の用法以外に、「なんぢ」と読み、「汝」の意となり、また「しかリ」と読み、「そのとおり」の意味となります。
副詞と助字併用による限定の表現
副詞と助字併用による限定の表現を確認しましょう。
○〔唯・惟・只・直・徒・特 ━━耳・已・爾・而已・而已矣 〕
〔ただ━━のみ〕
ただ━━だけである。
ただ━━であるにすぎない。
例
直不百歩耳
直だ百歩ならざるのみ。
ただ百歩(逃げたの)ではないというだけである。
限定の基本の表現は、以上です。
がんばれ! 陰ながら応援しています。
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