四字熟語 かっこいい韓信 自分を信じて今を乗り越える 

韓信匍匐(かんしんほふく)

 四字熟語「韓信匍匐」、これは、「韓信の股くぐり」です。

 若い頃、韓信は、屠殺場で働く若者に、「おまえは、でかい図体をして、いつも剣をぶらさげているが、じつは臆病者だろう。その剣で、俺を殺せるものなら、刺し殺してみろ。それができないなら、俺の股(また)をくぐれ」と、大勢の前で辱(はずかし)められます。

 韓信は、じっと若者を見ていましたが、腹ばいになると、彼の股の下をくぐります。

 それを見ていた街の人たちは、笑い、そうして、韓信を臆病者とします。

 当時の韓信は、貧しく、無頼者で、居候していたところからも見捨てられ、見知らぬ年輩の女性に食事をめぐんでもらうような状況でした。

 韓信は、街の多くの人たちから、蔑(さげす)まれていたのです。

 しかしながら、後に、韓信は、この地の王となります。

 そうして、食事をめぐんでくれた女性に、使い切れないほどの金を与えます。

 股くぐりをさせた男には、役職を与えます。

 恩返しをしたのです。

 韓信は、股くぐりをさせた男に言いました、あの我慢があったから、今の俺があるのだと。

 ちなみに、韓信が居候していて最後には追い出されてしまった家の者には、小銭を与えます。

 その際、韓信は言ったのでした、面倒をみるなら、最後までみろと。

韓信の忍耐

「韓信の股くぐり」は、志ある者の忍耐として称えられるものです。

 しかしながら、上記を読んで、お気づきでしょうか。

 韓信は、股くぐりのときだけ、我慢していたのではないことを。

 無頼者でも、みなに蔑まれていても、志は持てるものです。

 志は、夢と置きかえてもいいでしょう。 

 韓信は、確かに持っていたのです、志を、夢を。

 それならば、韓信は、ずっと堪(こら)えていたはずです。

 居候していたときも。

 年輩の女性から、食事をめぐんでもらっていたときも。

自分を信じる力

 そうしてまた、韓信は、信じていたはずです、自分自身を、自分の能力を。

 だから、大きな志も持てたのです。

 恥辱の日日にも、股くぐりをすることにも、耐えられたのです。

 

 

 人は、自分を信じられなかったら、何もできません。

 スタートラインに立って、負けるかもしれないと思った瞬間、すでに勝負はついてしまいます。

 強い心を持っていなければ、勝てるわけがないのです。

 自身の能力の足を引っ張る最たるものは、自身の中にある弱さです。

 無責任な外野は、好き勝手なことを言うものです。

 そもそも、くだらぬ輩(やから)ほど、他人を辱(はずかし)め、貶(おとし)めようともするものです。

 人は、強くあらねばなりません。

目利きとの出会い

韓信は、志を持ち、自分の能力を信じ、生きていました。

それは、ただの思いこみではなかったのです。

韓信には、強い心と、確かな力がありました。

それは、目利きによって、評価されるものです。

しかし、目利きは、そうそういるものではありません。

韓信の力が、正当に評価されるまでには時間がかかります。

それは、蕭何(しょうか)と出会うまでの時間です。

つまらぬことで争いごとをしない、それは自身のため

四字熟語の「韓信匍匐(かんしんほふく)」、「韓信の股くぐり」とは、大志を抱く者は、つまらぬことで争いごとをしない、という意です。

 韓信は、自分の能力を信じ、大きな志を持っていたために、「股くぐり」もできました。

 それは、賢明な判断でもあったわけです。

 つまらぬ争いは、敵をつくるだけ。

 それは、何より、自身のためになりません。

 韓信は、恥辱に耐えながら、冷静だったのです。

国士無双

上記の韓信の話は、司馬遷の「史記」からのものです。

漢文で読んだ方もいることでしょう。

「史記」において、韓信は、人気のある人物の一人です。

その韓信は、「国士無双」という四字熟語とも関わりがあります。

国士無双」とは、その国で二人といないほど優れた人物のことで、天下第一の人物のことをいいます。

 蕭何(しょうか)が、韓信を、劉邦に強く推挙する際、使った言葉が、「国士無双」です。

 蕭何のその言葉を記してみましょう。

 

「諸将易得耳。至如信者、国士無雙。」

「諸将易得耳。至如信、国士無雙。」※「者」を表記せずとも、「信の如きに至りて『は』」と訓読すれば同じことです。)

ここの「信」とは、韓信のことです。

  ↓

「諸将(ハ)得易(キ)(ノミ)。信(ノ)(キニ)(リテ【者】ハ)

(ノ)(ニ)(ツト)(キナリ)

〈国士無双(ナリ)。〉」

  ↓

「諸将は得やすきのみ。信の如きにいたりては、

国の士に双つと無きなり。

〈国士無双なり。〉」

  ↓

「諸将を得るのは容易いことです。しかし、韓信のような人物は、この国に二人といません。(韓信は、国士無双です。)

 蕭何の進言により、韓信は大将軍に抜擢されます。

 そうして、韓信は、その蕭何と張良という人物とともに、前漢の三傑と呼ばれることとなります。

 韓信は、自分を信じ、つらい今を乗り越える力があったのです。

 それは、強い心です。

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