ようだ 例文で意味と用法から読解、記述まで
助動詞「ようだ」 比況(比喩)・例示・不確かな断定(推定)・目標(目的)
助動詞「ようだ」は、比況(比喩)、例示、不確かな断定(推定)、目標(目的)の意味を表します。
ようだ 比況(比喩)
比況(ひきょう)とは、比喩(ひゆ)の意味です。「たとえ」です。
比べて喩(たと)えるわけです。
例
ピンポン玉のような魚だった。
上の例文は、「魚」が丸いことを、強調表現しているわけです。
もし、文章中に、上のような例文があれば、「魚」が、重要な意味で記されていることになります。
比況(比喩)の助動詞を使うのは、重要なポイントを示したい場合です。上の例文でいえば、「魚」の丸さが重要なポイントです。
識別 見分け方
ピンポン玉のような魚だった。
「魚」は、本当は「ピンポン玉」ではありませんよね。あくまでも、「たとえ」ているわけです。
「ようだ」が、比況(比喩)の意味なら、「まるで」、「あたかも」、「さながら」が最初から書かれているか、書かれていなくても、比況(比喩)の意味なら、それらの言葉を補うことができます。
→ まるでピンポン玉のような魚だった。
その魚は、あたかもピンポン玉のようだった。
その魚は、さながらピンポン玉のようだ。
こちらもどうぞ → 直喩、隠喩、比喩を例文とともに 読解と記述をわかりやすく
ようだ 例示
例を示します。
文中に、ポイントがあるから、例を示すんです。その書き方をする際に、例示の「ようだ」は使います。
例
私が尊敬するのは、父のような人です。
「私が尊敬する人」=「父」という関係が成り立ちます。これが「例示」の「ようだ」です。
「ポイント」=「例」という関係をつくるのが、例示の「ようだ」です。
「ポイント」ような「例」の関係です。
ポイントの例を示す際に使うのが、例示の「ようだ」なのです。
読解する上では、ポイントが何かを捉えることが重要です。
例
彼のような悪人に、今まで俺は会ったことがなかった。
ポイントは「今まで俺」が「会ったことがなかった」「悪人」で、その例が、「彼」です。
まともな文章であれば、この例文の前後に、「今まで俺が」思い描いていた「悪人」が必ず記述されます。
その「悪人」と、「彼」がどう違うのかを確認するのが、読解では重要になります。
識別 見分け方
比況(比喩)の「ようだ」と違って、例示の「ようだ」には、「まるで」、「あたかも」、「さながら」を補うことができません。
例示の「ようだ」は、「たとえ」の意味ではないので、「たとえ」の意味の「まるで」、「さながら」、「あたかも」を一緒に記すことはできないのです。
「シンデレラ」という言葉と、「ガラスの靴」という言葉は一緒に記せますが、「ゴジラ」という言葉と、「ガラスの靴」という言葉は一緒に記せません。それと同じことです。
言葉というものには、一緒に使える言葉と、一緒に使えない言葉があるんです。
それを仕切っているのは、「意味」です。
ようだ 不確かな断定(推定)
確実ではない断定、推定を表します。
例
誰かが来たようだ。
「らしい」に比べ、より主観の働きが強いのが「ようだ」です。
「らしい」を記す際には、推定した根拠や理由、伝聞を明確に記します。
「ようだ」は、推定した根拠が、「らしい」ほど明確でなくとも構いません。
あくまでも、主観として、「感じた」、「思った」のが、「ようだ」です。
もちろん、文章中で上の例文を記すのであれば、実際に「誰か」が来たのか、来なかったのか、記すことになりますよ。
例
玄関のドアの開く音がした。
誰かが来たようだ。
「おーい! いるか」
田吾作の声だ。
識別 見分け方
不確かな断定(推定)の「ようだ」であれば、「どうやら」 、「たぶん」、「おそらく」などといった言葉が最初から記されているか、それらの言葉を補うことができます。
例
どうやら、誰かが来たようだ。
たぶん、誰かが来たようだ。
おそらく、誰かが来たようだ。
ようだ 婉曲(えんきょく)
「婉曲」とは、露骨でない、遠まわしなさまです。
さらにいえば、はっきりしない、はっきりさせない意です。
「不確か」と通じるのがわかりますね。
例
「じゃあ、みなさん、そんなようなことで、ヨロシク!」
「議長! そんなようなことって、いったい、何なんだ!」
「そんなようなことは、そんなようなことなんだよ! ヨロシク!」
「ふざけんな! 議長を更迭(こうてつ)だ!」
※更迭とは、「かえること」。まあ、多くの場合、「クビ」ってことです。
ようだ 目標(目的)
目標(目的)を表します。
例
合格するように頑張る。
五時に起きるように目覚まし時計をセットした。
「ように」の前に、目標(目的)とする内容が記されます。
上の例文では、「合格する」、「五時に起きる」が、目標(目的)です。
確かでないから、確かなものにしようとする 人間の表と裏
「ようだ」は、確かなことではない意が根本(こんぽん)です。
だから、確かなものに喩(たと)えたり、確かなポイントに例として寄り添ったり、遠まわしな物言いになったりするんです。
確かでないと、確かなことにしようという意思が働きます。
「ようだ」が、目標(目的)の意を持つのはそのためです。
言葉には、意思があります。
なにしろ、言葉を使うのは、人間ですからね。
言葉、意味とは、表裏から成るものなんです。
人間に、表と裏、顔と仮面、ペルソナがあるのも、道理です。
ようだ 活用形
助動詞の活用形は、「形容動詞」の活用形の型と同じです。
命令形はありません。
注意する点は、「形容動詞」の活用と同じです。
こちらも参考にしてください。→ 形容詞、形容動詞の活用
「ない」に接続するのは、「連用形」です。
「連用形」が接続する基本は、「た・なる・ない」と覚えて、あとは応用していきましょう。
※ 下の活用形の図は、スマホを横向きにしてご覧ください。
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
ようだろ ようだっ ようだ ような ようなら 命令形は無し
ように
ようで
接続の例
助動詞「ようだ」に、命令形はありません。
※ 下の活用形の図は、スマホを横向きにしてご覧ください。
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形
ようだろ(う)・ようだっ(た)・ ようだ ・ ような(人)・ ようなら(ば)
ように(なる)
ようで(ない)
※「ようだ」の「連用形」が接続する基本は「た・なる・ない」、あとは応用して判断していきましょう。
例
「連用形」た ・「連用形」なる・「連用形」ない → 「連用形」ある
「ようだっ」た・「ように」なる・「ようで」ない → 「ようで」ある
「ようだ」 こちらもどうぞ → 直喩、隠喩、比喩を例文とともに 読解と記述をわかりやすく