大人の「読む力」 おわりに 原形
拙著『大人の「読む力」』の「おわりに」の原形です。
本来のものです。
おわりに
地球は銀河系という秩序あるコスモスの中に位置する小さな星です。
しかし、その地球には、七十億以上の人がいて、その一人の体内には、数十兆の細胞が秩序あるコスモスをつくっています。
世界に包まれた世界はまた世界を包みます。
文章が言葉から成り、その言葉がまた意味という言葉から成っているのも同じです。
マクロ、ミクロの世界は、視点の置き方で多様な姿を見せる思考の世界であり、現実の世界です。
マクロ、ミクロに、意味から意味の論理的な思考を私たちができるのは、枠のない連続した世界に生きているからです。
その脳を、私たちが持っているからです。
意味から意味の連続性を、見つけだすのも、つくりだすのも、自身の思考の力です。
言葉にする。
そこに思いやりがなければ、言葉は、危ういものとなります。
自身と他者の流れる時間は、同じように感じられても、実際に生きている個の時間の速度、世界の成り立ちは違います。
他者が過去をどのように生き、今をどのように生きているのか、それを慮(おもんばか)るのも思考なのですよね。
思考する力は、自身の大きな力になるだけでなく、身近な人の力にも、一生出会うことのない人の力にも、きっとなると思います。