関係性とはどういうことか ポイントと具体例を見極める
意味という関係性
二つ以上のものが存在すれば、そこには必ず、何らかの関わりが生まれます。
そこには、「ある意味」が生じているわけです。
それが、「関係性」です。
マクロ、ミクロに、関係性は生じます。
関係性は、言葉にすることができます。
今回、この関係性を、ポイントと具体例で読み解いてみましょう。
やさしい例文で、やさしく解説します。
ポイントと具体例という関係性
詩や短歌や俳句などはぎりぎりの少ない文字数で表現していますから、ポイントでない箇所はない、ともいえるのですが、それでもマクロ、ミクロと確認すれば、関係性から、それぞれ、ポイントと具体例とはしっかり分けていくことができます。
下の例文は、ある文章中から抜き出したものとしましょう。主語が記されていないのはそのためです。
例
やったあと喜んだ。
「ある文章」という全体から見れば、この例文は部分ということになりますが、この部分だけでも、ポイントと具体例とに分けることができます。
この一部分を、「すべて」と捉えて考えるんです。
ミクロ、マクロの視点です。
視点は、思考です。
比較を理解する
実際に、例文をポイントと具体例とに分けてみましょう。
例
やったあと喜んだ。
「やったあと」と「喜んだ」、この二文節の比較をするんです。
「やったあ」の例が「喜」ぶなのか、それとも、「喜」ぶの例が「やったあ」なのか。
そのように考えます。
どうぞ、考えてみてください。
「やったあと喜んだ」を、具体例とポイントとに分けてみてください。
大丈夫でしょうか?
ちょっと時間を置きましょうか?
大丈夫ですか。
では、具体例とポイントを確認しましょう。
ポイントと具体例は表裏一体
「やったあ」は、「喜」ぶということの具体例です。
つまり、「喜んだ」がポイント内容になります。
「やったあ」=「喜んだ」の具体例
「喜んだ」=「やったあ」のポイント
注意しましょう。
意味だけで捉えようとすると、わからなくなりますよ。
なぜなら、ポイントと具体例の意味・内容は同じだからです。
ポイントと具体例の意味・内容は表裏一体の関係なんです。
だから、書き方、形への視点も持ちましょう。
意味・内容は見えにくく、頭の中だけの思考となりがちです。
書き方、形は、見えます。目の前の情報を仕入れることができます。
多面的な見方を理解する
二つのものをポイントと具体例に分ける場合、基本の考え方、見方が間違っていなければ、どのような角度から見ても、二者間においてのポイントと具体例の関係性は変わりません。
これは、最初にポイントと具体例の関係性を見誤ったとしても、多面的な見方ができれば、その後で修正は可能であるということでもあります。
試しに、例文をまた別な角度から見てみましょう。
別な角度からの思考です。
例
やったあと喜んだ。
「喜んだ」は述語です。
「やったあと」はそれを修飾する修飾語です。
修飾語と被修飾語では、被修飾語がポイント内容になるのでした。
やはり、「喜んだ」がポイント内容と見ることができます。
※ピンとこない方は、カテゴリー「日本語 文法を基本から読解、記述へ」の基本の内容をお読みください。
また、こんな見方も可能です。
「やったあと」は、主語ではありません。
「喜んだ」は、「やったあと」よりも後に位置しています。
この前後の位置関係から、「喜んだ」がポイント位置で、「やったあ」は具体例位置と見ることができます。
主語でない文の成分であれば、後に位置するもののほうがポイント内容になります。
被修飾語になるからです。
被修飾語は、修飾語の意味を最終的に持つことになるために、ポイントの位置となるんです。
日本語の上から下へ(前から後へ)という書き方では、下(後)に位置する言葉が、上(前)に位置する言葉の意味を集約する格好になるんです。
この見方からも、「喜んだ」がポイントということになります。
この上下(前後)の位置関係からのポイントの見方の例外は倒置法などの表現技法なのですが、しかし、そういう表現技法においても、被修飾語がポイント内容になる、というポイントの見方は成り立ちます。
そもそも、倒置法という表現技法は被修飾語を強調する表現技法です。
(倒置法は、主語・述語の記される上下【前後】の位置関係の逆転、修飾語・被修飾語の記される上下の位置関係の逆転です。倒置法は、二文にわたってのものもあります。)
倒置法のポイント確認
実際に例文を倒置法で書きかえてみましょう。
例
喜んだ、やったあと。
書かれる上下(前後)の位置関係は逆転しても、「喜んだ」が被修飾語で、「やったあと」が修飾語であることには変わりありません。
倒置法は、被修飾語を際立たせる、まさに強調を見せる書き方なんです。
やはり、「喜んだ」がポイント内容に違いありません。
読み誤まらなければ、どの角度からでも読み解ける
書き方に瑕疵(かし)がない文を、自身が読み誤まらなければ、どの角度から読み解いても、その内容、ポイントは変わらないんです。