「ない」の識別の先にあるもの 文法をただの知識で終わらせない
カテゴリー「日本語 文法を基礎から読解、記述へ」を大分書いてきましたので、ここで、「文法を基礎から読解、記述へ」のスタンス確認を「ないの識別」を使って、3回にわたって記します。
文法をただの知識で終わらせてしまっては、大変もったいないことですので。
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品詞による文章読解の解説はこちら → 読解力 文法の使い方 品詞の読み方
美しくないの「ない」と走らないの「ない」は違う
次に、A、B、二つの例文をあげます。
その意味を確認してください。
例
A 朝、街は美しくない。
B 朝、私は走らない。
A、Bともに、否定の意味と捉えられますね。
それぞれの「ない」はどうでしょう。違いを確認できますか。
A 朝、街は美しくない。
B 朝、私は走らない。
意味・内容からだけの理解は、主観の理解
意味・内容だけで違いを捉えようとすると、無理が生じます。
それでは、不十分なんです。
主観だけの判断に陥ります。
形、文法構造を併せて、意味・内容を確認してこそ、客観的で論理的な深い理解となります。
Aは、形容詞、助動詞の連用形に接続して、その意を否定する「ない」です。
Bは、動詞、助動詞の未然形に接続して、その意を否定する「ない」です。
でも、これで、文の意味の理解にはつながりませんよね。
形容詞、形容動詞の活用、動詞の活用は大丈夫ですね?
文法は、すべて、意味が連続しています。
全体の理解は一語の理解から そこには意味の連続性がある
文法が理解できないというのは、その意味の連続性に気づけないからです。
カテゴリー「日本語 文法を基礎から読解、記述へ」は、初回からが、基本の内容になっています。
初回から読んできて、意味がわからない回に出会えば、その前の回に戻ってください。
それでもまだ理解できない場合は、さらにその前の回に戻って、読んでください。
「ない」の識別 その先にあるもの
二つの例文から、どのようなことが考えられるでしょう。
A 朝、街は美しくない。
B 朝、私は走らない。
A、B、それぞれの「ない」は、どちらも否定の意を表していますが、接続の仕方が違います。
当然のことながら、そこからの意味の違いが生じています。
ここで「考える」というのは、これまでカテゴリー「日本語 文法を基礎から読解、記述へ」で解説してきたものを使う、ということです。
それをやらなければ、文法の全体の理解とは成らず、「文法を基礎から読解、記述へ」とはなりません。
A 朝、街は美しくない。
B 朝、私は走らない。
それぞれ、短文です。
難しい意味の言葉はありません。
どうでしょう。
どのようなことが考えられるでしょうか。
この続きの解説は、こちら
その2 → 「ない」の識別 その先にある読解と思考
その3 → 助動詞「ない」 活用からの読解 助動詞「う」助詞「は」の見方
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