客観的な読み方、考え方
読解問題の解答・解説です。
続き記事になります。
どうぞ、前回、前々回から続けて、ご覧ください。
一文の最重要の意味は主語と述語
客観的、論理的な思考の第一歩は、よく見るということです。
そこに存在するもの、そこに隠れているものを、ありのままに捉える。
捉えることができなければ、思考は起動しません。
一語を大切に扱いましょう。
視点のずれは、思考のずれとなります。
それは、言葉のずれなんです。
一文の最重要の意味をつくるのは、主語と述語です。
問2を解答する際、客観の力はどうでしたか?
問1とのつながりを、どうぞ意識してください。
瑕疵のない文章からの、瑕疵のない問題・答は、すべてつながります。
意味の完成が、そこにはあるからです。
問2 正答 ① 智恵子のいう空
「智恵子は東京に空が無いといふ、/ほんとの空が見たいといふ」。
この書き出しの一文の主語は「智恵子は」、述語は「いふ」でした。
選択肢①には、この言葉があります。
それに対して、選択肢②「ほんとの空」には、一文の主語の言葉も、述語の言葉もありません。
言葉、文字がなければ、そこに意味はないんです。
ありのままに、客観的に、捉えましょう。
選択肢②で、省略、という書き方はされていません。
自分で、勝手に言葉を補って、解釈をしてはいけません。
ちなみに、選択肢①の「智恵子のいう空」の「の」は、主体を示す「の」です。
「いう」のは、「智恵子」ですね。
「智恵子がいう空」。
客観的な思考とその「目」を養いましょう。
目の前の文字、言葉、書き方、という「形」が、意味・内容を表します。
言葉、思考には優先順位がある
「智恵子は東京に空が無いといふ、/ほんとの空が見たいといふ」。
書きだしの一文で、「ほんとの空」だって、重要な意味だろう、という人も、おそらくいることでしょう。
もちろん、重要です。
瑕疵のない文章中に、重要でない言葉など、一つもありません。
ただ、言葉は、文章や、思考といった、まとまった「形」になると、重要度において、差が生じるんです。
今、何を、ポイントとして考えるのか。
それが、視点であり、思考の基点です。
「ほんとの空」だって、見方によっては、ポイントになり得ます。
しかし、書き出しの一文をまず思考するとき、「智恵子のいう空」と「ほんとの空」では、重要度で差が生じているんです。
書き方です。
どのように書いているか。
書き出しの一文において、「ほんとの空」は、修飾語としてあります。
一文の最重要の意味は、主語であり、述語なんです。
それが言葉の優先順位であり、思考の優先順位の基本となるんです。
思考の優先順位は、言葉の優先順位
1 主語 2 述語 3 修飾語(目的語・補語)
「智恵子は『東京に空が無い』といふ、/(智恵子は)『ほんとの空が見たい』といふ」。
「ほんとの空」は、「智恵子」が「い」った具体的な言葉の一部で、一文という「全体」から見れば、修飾語(修飾部)の一部となります。
※「東京に空が無いと」、「ほんとの空が見たいと」は、正確には、修飾部(いくつかの修飾語が集まってできた文節)です。