近世 江戸時代 文学史 年表「見てわかる! 縦の流れ 横の並び」
近世 江戸時代の文学史年表
文学史の流れ、同時期の人物をおさえましょう。
縦の流れ、横の並びの確認です。
※スマホを横向きにしてご覧ください
俳諧・川柳 小説 演劇 国学
1600 年
俳諧の連歌 仮名草子 古浄瑠璃 阿国歌舞伎
俳諧 ↓ ↓ 女歌舞伎
貞門派(松永貞徳) ↓ ↓ 野郎歌舞伎
談林派(西山宗因) ↓ ↓ 歌舞伎 国学
蕉風(松尾芭蕉)浮世草子(井原西鶴)浄瑠璃(近松門左衛門)↓ 万葉代匠記(契沖)
↓ ↓ ↓ ↓
1700年 ↓ ↓ ↓
↓ 八文字屋本(江島其磧) ↓ ↓
↓ ↓ ↓ ↓ (荷田春満)
↓ ↓ ↓ 万葉考(賀茂真淵)
↓ 川柳 ↓ 小説 ↓ ↓
↓ 俳風柳多留 洒落本 読本 伽羅先代萩 古事記伝
↓(柄井川柳) (山東京伝) (上田秋成) (奈河亀輔) (本居宣長)
天明調(与謝蕪村) 滑稽本(十返舎一九) ↓ ↓ ↓
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
1800年 ↓ ↓ ↓ ↓
↓ 人情本 ↓ 東海道四谷怪談 ↓
↓ (為永春水) (滝沢馬琴) (鶴屋南北) (平田篤胤)
化政調(小林一茶) 三人吉三廓初買
(河竹黙阿弥)
文学 主要人物 ひとことメモ
俳諧の連歌(はいかいのれんが)
松永貞徳(まつながていとく)
貞門派の祖。「俳諧御傘(ごさん)」を著し、俳諧の式目を定める。
※「式目」とは、俳諧の規定です。
西山宗因(にしやまそういん)
談林派の祖。
門下には、井原西鶴もいました。
松尾芭蕉(まつおばしょう)
蕉風を創始。
「俳諧の連歌」「俳諧」「貞門派」「談林派」「蕉風」「わび」「さび」「紀行文」等々は、こちらをどうぞ
夏草や兵どもが夢の跡 松尾芭蕉 「奥の細道」平泉 俳句 前書からの読解
幸若舞 敦盛「人間五十年下天のうちを比ぶれば夢幻のごとくなり」も解説しています → 奥の細道 末の松山 原文と現代語訳
与謝蕪村(よさぶそん)
蕉風の中興を唱える。
感性的、浪漫的、絵画的作風。
「新花摘(しんはなつみ)」「たまも集」など。
俳句の解釈文はこちら → 菜の花や月は東に日は西に 解釈 与謝蕪村を読む
俳句の読み方はこちら ↓
小林一茶(こばやしいっさ)
不幸な経験からの作品も多く、俗語、方言を生かした独特な作風。
「おらが春」「我春集」など。
こちらもどうぞ → 俳諧の歴史 江戸時代
浮世草子(うきよぞうし)
西鶴の「好色一代男」から、仮名草子と一線を画す。
遊里、劇場を中心とし、町人の情意生活を活写した好色物、町人物、三味線物、気質物(かたぎもの)の他、武家物、怪談物、裁判物など。
※「仮名草子」とは、室町時代の物語・草子の後を受けた短編小説。擬古文体の平易な仮名文で書かれた。啓蒙、娯楽、教訓などの内容。
井原西鶴(いはらさいかく)
矢数俳諧では一昼夜2万3500句の記録をたてる。
※「矢数俳諧」とは、一夜一日、あるいは一昼夜の内に独吟で早く多数の句を作り続け、吟じ、句数を競う俳諧。
「好色一代男」「好色一代女」「好色五人女」「武道伝来記」「日本永代蔵」「世間胸算用」「西鶴諸国ばなし」「本朝二十不幸」「西鶴織留」など。
(西鶴は、とても文章力のある人です。きれいな文章を書きます。構成も、じつにきちんとしています。そのへんのところを意識して、今度、ぜひ、西鶴の文章を読んでみてください。)
江島其磧(えじまきせき)
京都大仏餅屋の主人。
井原西鶴に私淑(ししゅく)。(「私淑」とは、直接に教えを受けてはいないが、その人をしたい、その言動を模範として学ぶこと。)
「けいせい色三味線」「風流曲三味線」「傾城禁短気」「世間子息気質」「世間娘容気」など。
洒落本(しゃれぼん)
遊里文学で、対話を骨子とし、遊びの穿(うがち)を主とする。
※「穿ち」とは、裏の事情をあばくこと。人情の機微など、微妙な点を表現すること。
山東京伝(さんとうきょうでん)
住まいが江戸城紅葉山の東方であることから山東庵、そしてまた、京橋に近いために京伝と号す。
「通言総籬(うつげんそうまがき)」「傾城買四十八手」など。
滑稽本(こっけいぼん)
滑稽な話を記した本。
浮世草子の気質物(かたぎもの)や談義本(だんぎぼん)の系統をひく一方、洒落本の影響の下、庶民の日常生活における滑稽ぶりを断片的に記した。
十返舎一九(じっぺんしゃいっく)
「東海道中膝栗毛」「江之島土産」など。
人情本(にんじょうぼん)
江戸市民の恋愛を描いた風俗小説で、洒落本から転じ、読本(よみほん)をやわらげたいろあいを加味する。為永春水が大成。
為永春水(ためながしゅんすい)
「春色梅暦」「春色辰巳園」など。
風俗壊乱で罰せられる。
浄瑠璃(じょうるり)
三味線による伴奏の語り物音楽の一つ。
室町末期より始まり、当初は無伴奏や琵琶、扇拍子で語られた。
江戸時代の直前、三味線が伴奏楽器として定着し、人形芝居と結合、後には歌舞伎とも結合し、庶民的な娯楽として大流行する。
竹本義太夫、近松門左衛門らによる人形浄瑠璃の義太夫節が代表的存在。
浄瑠璃の称は、義太夫節の異名ともなっている。
※「古浄瑠璃」とは、義太夫節成立以前の、浄瑠璃の各派(薩摩節、肥前節など)の総称。ほとんどが一代限りで衰退。伝承はされなかった。
近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)
歌舞伎で坂田藤十郎、浄瑠璃で竹本義太夫と提携。
義理人情の葛藤を題材に、人の心の機微を描く。
「出世景清」「国姓爺合戦」「曾根崎心中」「心中天の網島」「女殺油地獄」「けいせい仏の原」など
国学(こくがく)
古事記、日本書紀、万葉集などの古典の、文献的な研究に基づき、儒教、仏教渡来以前における日本固有の文化、精神を追究する学問。
近世学術の発達と国家意識の勃興にともなって起こった。
荷田春満、賀茂真淵、本居宣長、平田篤胤を、国学の四大人(しうし)と呼ぶ。
※ 国学 ←→ 漢学(中国の学問・中国の儒学)
契沖(けいちゅう)
復古を主張。
「万葉代匠記」「古今余材抄」など。
※「復古」とは、昔の体制にかえすこと。今の体制の正統化のために、過去の思想や伝統の中に根拠を求める思想。
荷田春満(かだのあずままろ)
伏見稲荷神社の̪祠官。
復古神道を唱道。
賀茂真淵の師。
「春葉集」「万葉集僻案抄」「万葉集訓釈」「創学校啓」「日本書紀訓釈」「出雲風土記考」など。
賀茂真淵(かものまぶち)
荷田春満に学ぶ。
古典の研究、古道の復興、古代歌調の復活に注力。
門人には、本居宣長、荒木田久老、加藤千蔭、村田春海らがいる。
「万葉集考」「歌意考」「冠辞考」「国歌論臆説」「語意考」「国意考」など。
本居宣長(もとおりのりなが)
号は、「鈴屋(すずのや)」など。
賀茂真淵に入門し、古道研究を志し、三十余年を費やして「古事記伝」を著す。
「もののあはれ」の文学評論を展開。「てにをは」・活用などの研究も。
「源氏物語玉の小櫛」「古今集遠鏡」「てにをは紐鏡」「玉勝間」など。
平田篤胤(ひらたあつたね)
復古神道を体系化。
在野の国学として幕末の尊王運動に大きな影響を与えた。
「古史徴」「古道大意」「霊能真柱(たまのみはしら)」など。
読本(よみほん・よみぼん)
江戸中期から後期の小説の一つ。
空想的な構成、複雑な筋。
仏教的因果応報、道徳的教訓などを内容とする。
上田秋成(うえだあきなり)
万葉集、音韻楽にも通じ、本居宣長と論争。
「雨月物語」「春雨物語」「胆大小心録」「癇癖談(くせものがたり)など。
滝沢馬琴(たきざわばきん)
曲亭馬琴(きょくていばきん)とも。
山東京伝に師事した後、勧善懲悪を標榜した、雅俗折衷文体の作品を多く著す。
「椿説(ちんせつ)弓張月」「俊寛僧都島物語」「南総里見八犬伝」など。
川柳(せんりゅう)
前句付から独立した17字の短詩。
※「前句付」とは、七・七の短句に五・七・五の長句を付ける俳句の一分野。この「前句付」が、「川柳」の母胎。
柄井川柳の選句を川柳点と呼び、付句が独立して、「川柳」と呼ばれるようになる。
「川柳」は、発句と違い、切れ字・季節などの制約がない。
多くは、口語を用い、人情、風俗、人生の弱点、世態の欠陥などを穿ち、簡潔、滑稽、機知、風刺、奇抜を特色とする。
江戸末期は、低俗に堕し、「狂句」と呼ばれた。
柄井川柳(からいせんりゅう)
前句付(まえくづけ)点者。
※「点者」とは、連歌、俳諧、川柳などで、評点し、その優劣を判ずる人。
「川柳評万句合」など。
『俳風柳多留(はいふうやなぎだる)』
初代川柳以下5代に至る代々の川柳評万句合(まんくあわせ)の中から主として選び集めたもの。
歌舞伎(かぶき)
阿国歌舞伎を源とし、江戸時代に興隆した演劇。
史実、伝説、社会現象を、音楽、舞台装置のもと、俳優が演じる技芸。舞踊の要素も含む。
※「阿国歌舞伎」とは、江戸初期、出雲大社の巫女(みこ)と称する阿国が京都へ出て演じた流行歌(はやりうた)や念仏踊などをまじえた演劇。
「女歌舞伎」とは、江戸幕府成立前後に流行した歌踊を主とする演劇。阿国歌舞伎などに始まり、多くは遊女が出演した。1629年に禁止。
「野郎歌舞伎」とは、1652年に若衆歌舞伎が禁止された後を受けて起こったもの。前髪を剃り落とし、「野郎頭」としたことからその名がある。
奈河亀輔(ながわかめすけ)
奈良・河内を放浪したことから「奈河」と称す。
「伊賀越乗掛合羽」「伽羅先代萩」など。
鶴屋南北(つるやなんぼく)
3世までは俳優。
4世の鶴屋南北が、大(おお)南北と呼ばれる。
「東海道四谷怪談」「天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)」「お染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」など。
河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)
5世鶴屋南北に師事し、2世河竹新七を襲名する。
生世話物(きぜわもの)を得意とした。
明治の新社会劇散切物(ざんぎりもの)や新史劇活歴物を始める。
「船弁慶」など松羽目物(まつばめもの)にも新境地を開く。
「三人吉三廓初買」「白浪五人男」「島鵆月白浪(しまちどりつきのしらなみ)」など。