五月雨や大河を前に家二軒 五月雨をあつめて早し最上川 

五月雨や大河を前に家二軒(さみだれやたいがをまえにいえにけん) 与謝蕪村 

意味 

 五月雨が降り続き、濁流の大河はあふれんばかりに流れゆく、そんな大河を前に、家が二軒並んでたっている。   

 与謝蕪村の有名な句です。

 まるで、絵のようですよね。

 絵画的な作風は、蕪村の真骨頂です。

 「大河」と固有名詞を使わないところが、個々の自由な想像をふくらませます。

(芭蕉の「五月雨をあつめて早し最上川」は、「最上川」だからこその句になっていますからね。) 

 蕪村のうまさは、名詞の使い方です。

「五月雨や大河を前に家二軒」の句は、「蕪村句集」(1784年)に所収です。

五月雨(さみだれ) 

季語は「五月雨」で、季節は夏です。

「五月雨」とは、陰暦五月頃に降る長雨。梅雨のことです。

陰暦五月頃は、今の太陽暦でいえば六月頃です。

「さみだれ」の「さ」は「五月(さつき)」の「さ」で、「みだれ」は「水垂(みだれ)」といわれています。

蕪村の「五月雨」の句は、こちらもどうぞ。

五月雨や滄海を衝濁水(さみだれやあをうみをつくにごりみづ)  与謝蕪村 

意味  

五月雨で増水した川の濁流が、青い大海原をつきさすようにして、広がっていく。  

蕪村の句には、構図の確かさがあります。 

壮大な風景が、目に浮かびます。 

こちらは、「新花摘」(1797年)に所収の句です。

五月雨を集めて早し最上川(さみだれをあつめてはやしもがみがわ) 松尾芭蕉

意味 

降り続く五月雨に、満々と水をたたえた最上川の流れの早さよ。

言わずと知れた、松尾芭蕉の句です。

五月雨をあつめてすずし最上川

「五月雨をあつめて早し最上川」は、紀行文「奥の細道」所収の句です。

 この句の初案は、1689年5月、大石田の高野一栄亭でのもので、その「中七」は、「あつめてすずし」でした。

「五月雨をあつめてすずし最上川」

 これが「奥の細道」を執筆中に、改作され、「五月雨をあつめて早し最上川」となります。

奥の細道

「奥の細道」は、1689年(元禄二年)武蔵国江戸を出発し

↓ 芭蕉の作品と「俳句」と「発句」と「俳諧の連歌」の基礎知識     

下野国

白河の関

陸奥国

仙台

塩竃・松島

↓ 奥の細道 末の松山 原文と現代語訳 

石巻

平泉 

↓ 夏草や兵どもが夢の跡 松尾芭蕉 「奥の細道」平泉 俳句 前書からの読解  

尿前(しとまえ)の関

出羽国

立石寺   

↓ 閑さや岩にしみ入る蝉の声 場所と解説 「奥の細道 立石寺」現代語訳 

羽黒山

鶴岡・酒田

象潟(きさがた)

念珠(ねず)の関(鼠ケ関)

それから越後国・越中国・加賀・越前国・近江国

美濃国大垣

そうして伊勢国に向かうところで終わります。

全行程、六百里(2400キロメートル)、156日間の旅でした。 

最上川

「最上川」は、飯豊山(いいでやま)、吾妻火山群を源とし、米沢盆地、山形盆地、新庄盆地を貫き、庄内平野を経て、日本海に注ぎます。

 急流として知られる大河で、富士川、球磨川とともに、日本三急流の一つとなっています。

2021年4月12日「雑記帳」

Posted by 対崎正宏